きみに捧げる祈り
シドニーはイエローストーン国立公園のレンジャーから高校教師に復帰し、新しい生活を始めようとしていた。
その矢先、映画俳優のような美貌の男性の訪問を受ける。
以前の赴任校で、人知れず恋い焦がれていたケンドル神父だ。
しかし、神父はガウン姿ではなくスーツに身を包み、自分をジャロッドと名前で呼ぶようシドニーに言う。
いったいどういうこと? あなたを忘れるために町を去ったのに。
シドニーは混乱し、神父に向かって“帰って”と叫んだ。
一度だけ交わした熱いキスに振りまわされてはいけない。
彼は神のしもべ、結婚することの許されない身なのだから――。
故あってイタリアで暮らすセシリーは怒りを覚えた。
十七歳の継娘がイギリス人子爵に騙されていると聞かされたのだ。
ふたりを引き離すために相手の館へ出かけたところ、そこにいたのは子爵のいとこにあたる公爵―― ドメニコだった。
彼もセシリーと同じ目的でヴェネツィアから戻ってきたという。
ふたりをけしかけたとドメニコに疑われ、彼女はさらに憤慨する。
その夜、音楽会で再会したセシリーに彼は意味ありげに言った。
「明日あなたの館を訪ねる。
お互いをよく知り合うために」あのふたりのことを話し合いに来るだけなのに、彼はどうしてわたしに気があるふりをするのかしら……。
サクソン人のアドラーは子どものころバイキングに拉致され、彼らの村に抑留されていた。
今や戦士となったアドラーはかつて習い覚えた言語の才をかわれ、通訳として和平交渉の場に駆り出される。
いとこのバヤードがサクソンの村を守るため、思いきった手段に出たのだ。
エンドレディという名前のバイキングの娘と結婚することで、村に平和をもたらすつもりだという。
エンドレディの姿を目にしたアドラーは驚愕する。
それは幼い日、共に遊び、心を通わせた娘だった。
エリオット家の令嬢スカーレットには、誰にも言えない秘密があった。
それは、双子の妹サマーの婚約者、ジョンを愛しているということ。
ところが、思いもよらないことに、サマーがロックスターと恋に落ち、ジョンとの婚約をあっさり解消してしまったのだ。
せめて失意のジョンをなぐさめてあげなければ。
その一心でジョンを訪ねたスカーレットは、秘めた情熱のおもむくままに、ジョンと一夜をともにしてしまう。
いくら彼を愛していても、二人の仲は決して公にできない。
これは一カ月だけの夢と心に決め、スカーレットはジョンとひそかに付き合いはじめたが……。
「君が必要なんだ、アリー」ひそかに憧れていたボスのマークからそう言われ、アリーはまさかと思いながらも、天にものぼる心地になった。
だが、次の瞬間、期待は音をたてて崩れた。
マークは、先日生後十一カ月の姪を引き取ったが、その世話をぜひともアリーに頼みたいのだという。
君の秘書としての仕事ぶりは知っているから、きっといい母親役になってくれると思うから、と。
アリーは複雑な心境のまま、しぶしぶ彼の家に住み込むことに同意した。
だが、アリーは想像もしなかった―― マークもまた、ひそかにアリーに惹かれていることなど。
続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60016152